研究科長という仕事
前理学研究科長・理学部長 有賀 哲也
2年間の研究科長任期を終えてから3ヶ月になります。せっかくの紙面を私の個人的感慨で埋める代わりに、研究科長の仕事について簡単にご紹介したいと思います。
組織規程によれば、研究科長は「理学研究科の校務をつかさどる」とされています。その意味するところは、研究科構成員に対して研究科運営の最終責任を負うことであると考えてきました。実際の運営は、将来計画、教育、自己点検、等々の各種委員会で行われていて、これらは、副研究科長の先生方をはじめ研究科内の先生方によってしっかりと担われています。研究科長はその最終責任を負う・負わなくてはならないということです。研究科のためになることであれば、自分に与えられた責任において、先生方や職員の皆さんに厄介なお願いをしなくてはならないこともありました。
研究科長の仕事のもう一つは、大学全体の運営への関与です。全学の教育研究に関する重要事項は、企画、財務、施設整備等、多種多様な全学委員会で審議された後、部局長会議、教育研究評議会を経て、最終的には役員会で決定されます。研究科長には、役員会へ至る前のさまざまなレベルでの検討の場への参加が求められます。私の任期中には、最終的に学域・学系制の導入を決めることになった教育研究組織改革専門委員会、これに引き続いて学域・学系制の具体化を検討するワーキング・グループ等もありました。また、総長選考会議では、非公開の場での峻烈な議論に参加することにもなりました。常に、与えられた責任を果たすことを考えて行動しましたが、力及ばずということもあったことはお詫びしなくてはなりません。
振り返るといろいろと思い出されてきて、胃が痛くなりそうなのでそろそろ終わりにします。二年間、個人的には得難い経験をさせていただいたと思っていますが、その一方で研究室のスタッフ・学生には迷惑をかけてしまいました。これから挽回してゆかなくてはなりません。何かと大変な時代ですが、京都大学理学部・理学研究科が今後もその文化を大切にしつつさらに発展して行くことを祈念しています。私も、教員のひとりとして努力してゆきたいと思います。
どうもありがとうございました。